女スコヘンSusan Weinertの初ライブアルバム!
Musician●Susan Weinert(E Guitar)
Title●Triple Talk - Live(2003年)
■ディスクユニオンで購入
ギターを弾く女性って意外に少ないように思えます。いまでこそMジャクソンのバックを務めたギタリスト、オリアンティさんやクラシックの村治佳織さんなどが活躍していますが、ことジャズ・フュージョンに絞るとかなり少数派です。安達久美さんという人も最近活躍がめざましいですね。なぜ女性ギタリストが少ないかと考えると、いろいろと理由があるかと思いますが、まず手が小さく指が短いために、フィンガリングのうえでどうしてもハンデがあること。また、腕力の関係でカッティングが甘めになってしまうことが大きいように思えます。それでもギターそのものやPA設備の改良によって、女性の進出も以前よりは容易になっていると思います。
今回、紹介するのはドイツ人女性ギタリスト、Susan Weinert(スーザン・ワイナート)による初のライブアルバムです。2003年リリース。メンバーは彼女の旦那でもあるMartin Weinert(ベース)とHardy Fischotter(ドラム)というお馴染みのトリオ構成です。Weinertは私が知る限りでは1990年代からデビューしていますので、それなりにベテランといってもいいと思います。初期の作品は「女スコット・ヘンダーソン」という感じが丸出しでしたが、最近では男性ボーカルを取り入れたり、アコースティックに挑戦したりと独自性を押し出しています。
このアルバムでで聴かれるプレイはその延長線上にありながら、彼女なりの解釈が加わりまさに長足の進歩が見られます。以前はエレキ1本でしたが、さらにここではギターシンセもマスターし、とてもトリオでのライブとは思えない重厚で奥深い音作りに成功しています。Susan Weinertのプレイは、スコット・ヘンダーソンやアラン・ホールズワースなどの影響を強く受けてはいますが、独特のフレージングや丁寧なカッティング、そして音に対する強いこだわりは、やはりドイツ人ならではのもの。計算尽くされた楽曲と、メンバーの一糸乱れね緊張感あふれるコンビネーションから繰り出される素晴らしいプレイの数々は、口うるさいジャズフュージョンファンを必ずや納得させるレベルにあると断言できます。それでいて決してテクニック至上主義に陥らない聴かせる作曲能力もあるわけで、絶妙なバランス感覚をもっているプレイヤーだと言えます。ベースもドラムもなかなかです。
特に1曲目「snapshot」ではリズム隊が作り出す独特のポリリズムに乗って、Susan Weinertのギターが縦横無尽に暴れまわり息を飲むような素晴らしい出来に仕上がっています。カッティングも見事。まだまだ日本では無名の存在ですが、スコヘンやホールズワースあたりのテクニカル系ギタリストが好きな方にぜひお勧めしたいと思います。
●Musicians
Susan Weinert / g,guitar-synth
Martin Weinert / b
Hardy Fischotter / dr
●Numbers
1、snapshot
2、your smile in your face
3、no sellout
4、hopeless case
5、lost paradise
6、the kobayashi syndrom
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コメント
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このギタリストをYoutubeで見ましたが素晴らしいですね~
早速Tomorrow'S Dreamをダウンロードしましたが… 予想に反して大人しい旦那さんとのアコースティックDUO作品なのでがっかりしているところです(- -;
投稿: betta taro | 2010年2月11日 (木) 23時30分
Susan姉さんは、このアルバムくらいまでは面白かったのですが、最近はアコギ中心でおとなしくなってしまいました。
初期の4枚目くらいまでは結構とんがっていてお勧めです。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2010年2月14日 (日) 15時39分