日本が生んだハードコアなアヴァンギャルドジャズ「Quartet 99」
Musician●Trio 96
Title●Quartet 99(1999年)
■ディスクユニオンで購入
とんでもないアルバムを発見してしまいました。日本ではフリージャズというと不当なまでの冷遇されているようでうすが、これほどガチンコ勝負のハードコアなフリージャズをプレイするグループが商業ベースに乗ってくるなどあまり考えられません。
今回紹介するのは、ギターの石川健二を中心に田中康裕(ドラム)、矢野智礼(サックス)、江尻博光(ベース)という4人構成なのになぜか「Trio」を名乗るハイテクジャズロックユニットによる1999年の作品です。なぜかフランスのムゼアというレーベルとの契約のようです。
予備知識もなく帯に書かれていた「4人組パワー・ジャズ・ロック」というコピーに惹かれて買ったアルバムですが、聴いてみてびっくり!4人が全力疾走でブンブン唸り倒すハイテンションな演奏は他に類を見ません。たとえは難しいのですが、かの全盛期のマハヴィシュヌ・オーケストラのようでもあり、またブランドXのようでもあります。
彼らが影響を受けたミュージシャンとして、アラン・ホールズワース、マイルス・デイヴィス、ジョン・マクラフリン、そして意外にもECMレーベルなどのジャズロックの偉人たちがあがっていますが、およそ古今東西のジャズロックのエッセンスをがっちり集めてきて濃縮果汁にしたようなプレイです。日本のジャズロックといえば、個人的にはフラジャイルあたりを連想しますが、フラジャイルのような親しみやすさを彼らに求めることは困難です。妥協をまったく許さないハードコアでエネルギッシュなプレイは、日本のジャズロックシーンでは、異彩を放っています。
いすれにしてもよくありががちの甘ったるい音楽に食傷気味の諸兄にうってつけの作品です。超絶技巧と強烈な衝撃に触れると、いっぺんで覚醒すること確実です。2003年に発表されたギターとドラムだけによるデュオ作品「DUO '03」もお勧めです。こちらはプログレ的な要素が満載の奇天烈な仕上がりになっています。
●Musicians
石川健二 / guitar
田中康裕 / drums
矢野智礼 / sax
江尻博光 / bass
●Numbers
1 Nana(Up)
2. JB
3. 5 Beats
4. 9 Beats
5. Hayai kyoku
« ROCCO ZIFARELLI / LYNDON(1998年) | トップページ | JON ST. JAMES / FAST IMPRESSIONS(1986年) »
「フリージャズ」カテゴリの記事
- The Spontaneous Music Ensemble / Karyobin(1968年)(2016.07.31)
- Schnellertollermeier / X(2015年)(2016.03.26)
- フリー系サックス奏者Francois Corneloup「Pidgin」にMarc Ducretが参加(2014.11.02)
- ECMの超問題作。Michael Mantler「The Jazz Composers Orchestra」(2014.04.11)
- 新鋭トロンボーン奏者Samuel Blaser「As The Sea」にMarc Ducretが参加(2013.08.24)
この記事へのコメントは終了しました。
« ROCCO ZIFARELLI / LYNDON(1998年) | トップページ | JON ST. JAMES / FAST IMPRESSIONS(1986年) »
コメント